kumi's note

60代フルタイム操業  暮らし中の悲喜こもごもをサクッと書いていけたら♪

車窓からの風景「中野のライオン」に思いを馳せる



私、ほとんど電車は使わない生活ですが、先日、久しぶりに電車に乗りました。


電車に乗って、車窓から見える景色を眺めていると、
必ずといっていいほど思い出すのが、
向田邦子のエッセイ「中野のライオン」
昭和の古き良き時代の実話です。


このエッセイは作者が、電車(中央線)に乗っている時、
通り過ぎるアパートの、その開かれた窓に
ひとりの男性と一頭のライオンを見るという話なのです。
そこは中野でした。


作者は本物のライオンだと確信しましたが、
走っている電車の中から見た一瞬の出来事。
他の乗客は誰も反応しませんでした。
でも作者が見たライオンは、
縫いぐるみなどではなく、まぎれもなく本物のライオンだったのです。
そんな内容でした。



電車に揺られながら、「中野のライオン」に思いを馳せます。
ライオンには100パーセントにお目にかかれないだろうけど
なんか、面白いものに遭遇しないかしらと、移り行く景色を目で追います。
そしたらブログにも書けるしと、都合の良いことなども考えたりします。


とはいえ、線路に沿っているからか、生活感のない無機質な建物ばかり。
アパートやマンションはあっても、窓を開けている部屋なんて皆無です。
わざわざ窓を開ける意味はありません。
暑けりゃ冷房を入れれば問題は解消します。
通過する一瞬であっても、
電車の人から生活を見られるのは嫌ですものね。



作者が中野でライオンと遭遇した時期は、おそらく夏。
冷房のないアパートで、ライオンと同居?の男性は、
開けた窓からわずかでもいい、涼を取り込みたいというような、
そんな心境だったのでは?
(見られてもいいや。だって暑くてたまらないんだもの、みたいなw)




もう一度、読み直したいと思い、図書館から借りてきました。
あっという間に読める小さいエッセイです。
やっぱり、季節は夏でした。


昔読んだ物なので、すっかり忘れていましたが、
「中野のライオン」の次に「新宿のライオン」が納められていました。


大好きな作家です。
淀みない文章の中に、ユーモアが忍ばせてあります。
いつも読みながら笑ってしまいます。


「中野のライオン」から「新宿のライオン」へと話は続きます。
そして
「新宿のライオン」の最後の一行にやられました。
向田節、炸裂☆彡